鼻には、吸い込んだ空気を浄化し、加温・加湿して肺に送る機能が備わっています。
人は本来鼻で呼吸することが大切です。
近年生活環境の急激な変化によりアレルギー疾患は増加傾向にあり、花粉症などのアレルギー性鼻炎による
「口呼吸」習慣者が増えているそうです。また、普段鼻づまりがなくても風邪や喫煙、歌唱、吹奏楽、激しいスポーツ、よく喋らなくてはならない職業も無意識のうちに口呼吸の癖がつくきっかけになるといわれています。
「口呼吸は万病のもと」といわれるほど、様々な病気との関連が示唆されています。
< 唾液が減少する>
口の中が乾燥するため、唾液による自浄、抗菌、緩衝、再石灰化作用などが失われ、虫歯、歯周病、歯の着色、口内炎、口臭などが発生しやすくなります。
<低位舌になる>=舌が上顎から離れ、舌の位置が下がる
正しい舌の位置は、上顎にペタッと接触している状態です。
口呼吸をすると低位舌になり、歯列不正を招きます。
歯列には頬や口唇による外側からの圧力と、舌による内側からの圧力がかかっており、歯は両者のバランスのとれた位置に並びます。
低位舌になると、上顎歯列は舌による圧力が失われ、外側から押されるだけとなり、V字型の狭いアーチになり、出っ歯や凸凹、下顎とのかみ合わせも悪くなり左右にずらして咬む癖がつくと顔が歪んでくることもあります。
また、舌が沈下することで気道が狭くなり、イビキや睡眠時無呼吸症候群の一因にもなります。
< 免疫力の低下・異常が起こる>
喉の周辺には多くのリンパ組織(免疫組織)が存在していて、病原体の侵入を阻止しています。
口呼吸をすると汚染された空気が喉を直撃するため、リンパ組織が感染し十分に機能を果たすことができず、
免疫システムのバランスを崩します。
風邪、肺炎、免疫性疾患(関節リウマチなど)、アレルギー(アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎など)、全身倦怠、集中力の低下、うつ病、パニック障害、原因不明とされている病気(潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群など)までもが口呼吸と関係しているという報告もあります。
参考文献: 「正しく鼻呼吸すれば病気にならない」 今井一彰著 河出書房新社
口を閉じて鼻で呼吸することは、生体を正常に機能させ健康維持につながります。
普段何気なく行っている呼吸ですが、鼻呼吸を意識してみましょう。
歯科医師 代元巳弥
2014年7月25日 カテゴリ:未分類