【顎関節症とは】
定義:「顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害ないし顎運動異常を主要症例とする慢性疾患郡の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包・靭帯障害、関節円板障害、変形性関節症などが含まれている」 日本顎関節学会
定義にあるように、”あごが痛い” “あごが鳴る” “口が大きく開かない” が顎関節症の三大症状です。
また、顎関節症は総括的診断名です。すなわち、顎関節症にはいくつかの病態が含まれているため、すべてを同じ治療法で対処することはできません。
例えば、咀嚼筋のみに症状がある顎関節症と、関節円板異常のある顎関節症では当然治療法が異なります。
的確な治療をすすめるためには、まず的確な診断と症例分類が不可欠です。
【顎関節症の原因】
1、ブラキシズム
2、悪い癖や習慣
3、歯列不正、悪い噛み合わせ
4、ストレス (ブラキシズムの原因に関連)
5、その他
1…グランディング(歯ぎしり)、クランチング(くいしばり)、タッピング(カチカチと鳴らす事) などのことで、筋肉や顎関節、歯に大きな負担をかけています。
仕事やスポーツの時など集中している時に無意識に行っていたりしますが、最も多いのは就寝中です。
音がしないブラキシズムもあるため、自覚•他覚されていない方がほとんどですが、現在、日本人の9割がしているとも言われています。
2…偏咀嚼(左右どちらか片方ばかりで噛む癖)、頬杖、寝姿勢(毎晩、左右どちらかの頬ばかりを下にして寝る • うつ伏せ)などの悪習慣は身体のバランスの偏りにつながります。
5…口腔内の手術や歯の治療などで長時間大きく口を開けたり、頭や顎などを強打した など
【顎関節症の治療方法】
物理的療法、運動療法、スプリント療法、薬物療法、外科療法などがあります。
症状分類によって適用か否かは診査•診断が不可欠ですが、原因からも明らかなように、顎関節症は悪い生活習慣が大きく関わっていることが多いため、ご自分での生活習慣の見直しやケアが大切です。
• パソコン使用中や料理中など、グッとくいしばっていませんか?
• 氷を噛んでいませんか?
• 大きなお口であくびしていませんか?
• 立つ姿勢、座る姿勢、寝る姿勢は正しいだすか?
• ストレスたまっていませんか?
根本的な見直しにより、症状の改善や再発防止につながります。
【顎関節症は女性に多い?】
顎関節症の患者は、ここ十数年で15倍にも増加したと言われています。
食習慣の変化などとの関係が深いのでしょう。
子供から高齢者まで幅広くみられる疾患ですが、ある調査では、10代半ばから増え始め、20〜30代がピーク、女性は男性の2〜3倍という結果があるようです。
小学生から高校2年生までは性差がなく、高校3年生では女性に有意に高い発現率であり、身体的に性差が確立する時期以降で女性に多くなるという興味ある調査結果もあり、性ホルモンなどの内分泌系の関与を裏付ける結果かもしれません。
《参考文献:「新編チャートでわかる顎関節症の診断と治療」 依田 哲也 著 医歯薬出版株式会社》
日頃の癖や習慣を見直すことがまず一歩です。
症状が長引く、再発を繰り返す場合は、重症化する前に気軽にご相談下さい。
歯科医師 安原 亜矢子
2014年8月16日 カテゴリ:未分類