星陵日記

BiPSEE医療XR

 

空は高く澄み渡り、さわやかな季節となりましたが、皆様におかれましては健やかにお過ごしのことと存じます。

今回は、治療に不安があるお子さんや保護者の方々のために開発された「BiPSEE医療XR」についてご紹介します。
BiPSEE医療XRは、ゴーグルと特殊なスマートフォンを使用して、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を体験できる装置です。
歯科では、待合室からユニットへの移動や、待ち時間、治療中などお子さんが不安や緊張を感じる場面で有効に用いることができます。

 

画像コンテンツとして、画面のなかを魚やくらげが動き回る「海のいきものとあそぼう」、蝶やとんぼが飛び回る「きのこの森たんけん」、雪の結晶がひらひらと舞い落ちる「毎日がクリスマス」があります。当院の患者さんには、「海のいきものとあそぼう」が一番人気でした!今後も面白いコンテンツが増えることを期待します。

また、トムとジェリーのアニメーションも人気で、夢中になりすぎて治療が終わったのに気づかないお子さんもいました。

公式HPによると歯科VR体験後には保護者からも前向きな回答が得られたようです。

当院でも体験された患者さんの多くにご好評をいただきました。
興味がある方はぜひ下記URLをご参照ください。

https://www.bipsee.co.jp/

歯科医師
松崎麻実

 カテゴリ:未分類

WDAI

先日ストローマン主催のインプラントのセミナーWDAIベージックコースに参加してきました。
WDAIは“Woman Dental Academy for Implantology”女性歯科医師が学びやすい環境を目指したもので、講師の先生は田中道子先生を始め、柳井知恵先生、立川敬子先生、渥美美穂子先生の他、臨床経験豊富な女性歯科医師の講師の先生方か多くいらっしゃいました。
そこで学んだことや感じた事など交えながら以下でご紹介していきたいと思います。

セミナーは合計2日間行われました。
1日目はインプラント学概論、インプラントに必要な局所解剖、インプラント診査診断、治療計画、外科の基本などの講義がありました。インプラントを行う上で重要な動脈や神経、起こりうる合併症、偶発症など改めて学ぶことができました。
患者さんによって残っている歯の数や骨の状態は様々であるため、それを調べるための診査、診断、患者さんへの説明と同意がいかに重要であるかも学ぶことができました。
また、小林先生によるインプラント器具の特徴の基本や今回はストローマン会社でのセミナーであったため、ストローマン会社のインプラントの特徴をマニュアル本を参照しながら学びました。
メーカーによる違いなどが詳しく聴けるのはセミナーならではと感じました。初心者でもとても分かりやすく面白く教えて頂きました。

午後はストローマン社製、BLT、TL埋入のインプラント外科実習を行いました。
外科実習では柳井先生によるデモンストレーションのもと、顎模型を用いてインプラント体埋入実習を行いました。
BLTとはボーンレベルインプラントのことで、アバットメント(被せもの、歯として見える部分とインプラントを接続させるもの)が骨の中のレベルにあるもの、TLとはティッシュレベルのことでアバットメントの接続が骨の上、歯肉のレベルにあるものを言います。今回はこの二種類のインプラント体の埋入実習をしました。
また歯肉付きの模型であったため切開の入れ方から縫合の仕方まで、臨床経験の話を交えて頂きながら行うことができました。

2日目はインプラントの補綴の基本、デジタルデンティストリー、ガイデットサージリー(インプラントを埋入する際の指標となるもの)、 光学印象のデモンストレーション、CAD/CAM(コンピューターで設計、作製するもの)についての講義がありました。
デジタル化の普及により印象材(型取りの材料)が不要となり不快感の軽減や嘔吐反射の方にも使用でき、印象を画面上で即時に観察することやデータを送信、共有できることが可能になった事でIOSの優位性を学ぶことができました。

午後は補綴実習、オープントレー法による印象採得がありました。
インプラントの型取りには用いるコーピング(型取りに使用する部品)によってオープントレー法とクローズドトレー法の2種類があります。

印象からコーピングの着脱をしないため一般的に印象精度が良好とされているオープントレー法を用いることが多いですが、コーピングの長径が長いため、口を大きく開ける事に制限のある方にはクローズドトレー法を用います。
今回は印象精度をあげるためのコツや注意点をご指導頂きながらオープントレー法を行いました。

インプラントの歴史は50年になりますが、講義や実習が大学取り入れられたのは最近であり、大学時代にインプラントを学んだ事のなかった先生方やこれからインプラントを臨床に取り入れていきたい先生方など様々な理由で参加していました。
私は現在研修医なので大学での座学メインのインプラント治療についてしかわかりませんでしたが今回のセミナーで基礎的な知識と共に具体的な症例を見ながらの講義や実習があったため臨床的な知識を身につけることが出来たと思います。


また講師の先生は皆女性という事もあり、女性歯科医師ならではの考え方などを聴くことができました。

これまで、歯がなくなってしまったら入れ歯かブリッジの二択になってしまっていたところにインプラントが加わることで、治療の選択肢の幅が広がるのだと感じたのと同時に今後習得すべき技術だと思いました。

教科書で学んできた事が基本なのはもちろんですが、それだけではなく臨床での実際や経験談を聴き、また臨床で活躍される先生方を目の当たりにし今後のモチベーションの向上になりました。今回のセミナーで学ばせて頂いた沢山のことを活かしていけるよう日々精進していきたいと思います。

歯科医師 沼口友美

 カテゴリ:未分類

口腔機能の衰え
《オーラルフレイルとは》

皆さまこんにちは。
厳しかった夏の日差しも少しずつ秋風とともに和らいでまいりました。
夏のお疲れで体調を崩されてはいませんか?

今回は「オーラルフレイル」についてご紹介したいと思います。
皆様は「フレイル」という言葉を耳にしたことはございますか?

※frailtyの概念の日本語訳はこれまで虚弱が使われてきましたが現在では概念との整合性をとるため日本老年医学会から提唱されたフレイルが日本語訳として用いられています。

フレイルとは心身機能が落ち、介助が必要になる一歩手前の状態をいいます。
この状態のままでいるとやがては寝たきりや介助が必要な状態になってしまいます。
しかし、早期に原因を把握し適切な介入をすることで再び健康を維持し、自立した状態へ戻すことができるというものがフレイルです。

またフレイルは身体的な衰えのほか、心理的や社会的な衰えなどの多面性をもちます。

※ロコモティブシンドローム…運動器の障害により歩行困難など要介護になるリスクが高まる状態
※サルコペニア…加齢や疾患による筋力が低下した状態

オーラルフレイルの説明と問題点

そして、口の衰えを特にオーラルフレイルといいます。
口は生活に欠かせない機能を多く有しています。
しかしオーラルフレイルによって様々な障害が出てきてしまいます。

たとえば、虫歯や歯周病による歯の喪失に対し適切な治療がされず放置された状態が続くことで口の機能である咀嚼機能(食べ物を噛む能力)が衰え始めます。
咀嚼機能が衰えると噛めない食品が増加し、適切な栄養素(タンパク質等)を摂ることができなくなり、身体に低栄養をもたらします。
低栄養状態になると筋肉量も低下しさらなるフレイルの悪化に繋がります。
また咀嚼しなくなることで、認知機能の低下にもつながると近年言われています。
さらに、オーラルフレイルでは、あえて噛みやすい食事を選択することで舌や口の周りの筋肉、食べ物を飲み込む為の筋肉が使われにくくなり、むせて咳き込むことが多くなります。
また会話の際にはうまく舌が回らなくなる等の症状が見られます。

このように口と心身の健康は互いに密に関連し、影響し合っていると言えます。
しかし、身体にトラブルが起こった場合、医科にはすぐに受診しても口のトラブルは所詮死ぬわけではない、と軽視される傾向があり、些細なトラブルではなかなか歯科を受診されない方も多いのではないでしょうか。
ではここで下にオーラルフレイルかどうかのチェックシートがあるので、1つチェックをしてみてください。

いかがでしょうか。オーラルフレイルの危険性はありましたか?

しかし、冒頭でもお話ししました通り、オーラルフレイルは元の健康な状態に戻ることができる「可逆性」の性質を持っています。
即ち、不可逆性である接触嚥下障害や咀嚼機能不全になる前に、早急にフレイルの段階で介入し改善することが重要になってきます。
ではどのような対策があるのでしょうか。

対策改善策

オーラルフレイルにならないための対策または、なってしまっている場合に出来る改善策、それは歯を残すことと口腔機能の向上です。
厚生労働省によるオーラルフレイルの提言をうけて平成元年に8020運動が生まれました。
8020運動は80歳で20本以上の歯を保ち、何でも噛んで食べられることを目指して展開されてきました。
歯を失う主な原因は歯周病と虫歯によるものであり、これには日々の適切なブラッシングとかかりつけ医による定期的なクリーニングと検診を受けることで予防が可能です。
また8020が達成できなくても、失った歯をブリッジや入れ歯で補綴し、口の中の状態を良好に保つことで食べられる口の維持につとめることが重要です。
また栄養を十分摂取するために、歯を残すことと同時に噛み砕き、飲み込むといった口の周りの筋肉の機能の向上にも目を向ける必要があります。
そのためには普段からの口周りの筋肉を鍛えたり、食べ物を口の奥へ運ぶ潤滑剤である唾液の分泌の促進が重要になってきます。
例えば前者には〈パタカラ体操〉というものがあります。
それぞれの発音でどこの筋肉を使っているか意識することで自分はどこの筋肉が落ちているのかを認識することができます。

また、唾液を分泌させ、円滑な食事をするために、〈唾液腺マッサージ〉があります。
唾液は唾液腺という分泌腺から分泌されますが、加齢や服用されている薬の副作用、ストレスがかかったり緊張などで出にくくなります。
唾液が出にくいと感じている方は下図のマッサージ方法をお食事の前にぜひ試してみてください。
しっかりと唾液が分泌されれば食べ物の味を感じ、美味しく食べることができます。
そしてこれらを継続することがオーラルフレイル改善の近道となります。

さらに、意識的に咀嚼や口唇、舌の運動を促す食事を選択することが大切です。
低下した咀嚼を中心とした摂食・嚥下機能に関わる筋肉を回復させることで摂食・嚥下機能だけではなく全身の筋力や身体機能も回復し、外出、食事、会話を楽しむことができ、社会参加への自信がつくことで精神心理的フレイル、社会的フレイルからも脱却できると考えます。

まとめ

現在我が国は世界で最も高い高齢化率を有しており、2025年には団塊の世代がすべて、75歳以上となり、2040年には高齢化のピークを迎えようとしています。
その為今後は平均寿命と健康寿命の差を減少させ、元気に長生きすることが大切です。
ご高齢になってからすでに衰えてしまった口の機能を回復するのは難しくなってきます。
そのため、口の中の些細な異変にご自身で早く気がつき、定期的な歯科でのオーラルフレイルのチェックをお勧め致します。
また、ご自身や歯科にて口腔機能訓練のみを行うよりも、日々の食事を通じて口腔機能を改善する方が栄養状態も改善することから効率的であると考えます。
生きることは食べること、しっかり噛んでしっかり食べることが大切です。
現在、飲み込みづらい、口が渇くといった症状でお困りの方、さらに口腔機能訓練をもっと知りたい等、少しでもオーラルフレイルについて気になってる患者様がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。

歯科医師小松リナ

〈参考文献〉
日本抗加齢医学会雑誌アンチエイジング医学2016
老年歯科医学用語辞典第2版
マンガでわかるオーラルフレイル

 カテゴリ:未分類

唾液によるがんリスク検査

まだまだ暑い日が続いておりますが、皆さまは熱中症や夏バテで体調を崩したりしていないでしょうか?
暦の上では秋の始まりの季節になりますが、今年の暑さは9月上旬まで暑さが続くようです。
暑いと食欲が減退気味になりがちですが、しっかりと栄養を摂って猛暑を乗り切りましょう。

今回は、Saliva Checker® で行う「唾液によるがんリスク検査」ついてご紹介したいと思います。
現代は2人に1人が「がん」になると言われる時代です。
そして多くのがんは、早く見つけて、早く適切な治療をすれば治すことが可能と言われています。
早期発見のために、定期的ながん検診は非常に有益であることは言うまでもありません。

しかしながら年に一度はがん検診を受けるべきとは思いつつも、何かと忙しい日常生活の中で、なかなか気軽に受けられないことが多いのではないでしょうか?

私も去年は重い腰を上げて、ようやく区のがん検診に行ってきました。
胃がん検診と女性なので子宮頚部がん検診、乳がん検診と様々な医療機関にその都度行き検査を受けました。
何か月かに渡りやり遂げましたが、検査と検査結果を聞きに何回か各医院に通ったので正直、結構大変でした。

医療機関で行われる検査は、その方法や検査対象により、生体検査と検体検査に大別されます。

生体検査とはさまざまな機器を用いて患者さんの体を直接検査するもので、血圧、肺機能、心電図、脳波測定などに代表される生理学的検査がこれにあたります。
X線撮影やX線CT、MRIなどによる画像診断、超音波検査、内視鏡検査などもあてはまります。

一方、検体検査とは、血液や尿、便、たんなど、患者さんから摂取した検体を分析して病気を調べる検査です。
唾液を採取して調べる方法もこれに分類されます。

また検査は検査の目的にあわせて以下の2つに分類されます。

一つがスクリーニング検査と言い、病気にかかっている「可能性」があるかどうかを調べる検査で、地域や職場の集団検診や人間ドック、医療機関を外来受診したときに行われる一般的な検査などがこれにあたります。
あくまでも、何らかの病気の「可能性」がある人を効率的にふるいに分けるのが目的なので、ほとんどの場合、この段階では病気の診断を確定できません。

次に、スクリーニング検査で異常が見つかった場合や、診察の初期段階からある程度病気の見当がついている場合などには、より詳しい検査が行われ、病気の診断が確定されます。
これをスクリーニング検査などの一般的な初期段階の検査と区別して、精密検査と言います。

今回ご紹介するSaliva Checker®(サリバチェッカー)はこのスクリーニング検査に相当します。
がんの確定診断を行うためのものではなく、現在がんの疑いがあるかどうかを調べるスクリーニング検査です。
「がんである」という診断を下せるものではないということをご理解していただく必要があります。

サリバチェッカーの検査においてリスク値が高い結果の場合には、検査後の相談ができる医療機関で相談することが重要です。
その後、必要と判断されれば、精密検査へと進んでいきます。

唾液は「身体の鏡」と言われ、血液や尿と同じように健康状態の良し悪しを反映します。
唾液中の成分の大部分は血液由来のため、がん細胞から染み出す代謝物質は血管を通り、唾液中に染み出すそうです。

Saliva Checker®(サリバチェッカー)は、唾液中に染み出したこれらの物質の濃度を解析することで、がんのリスクを調べます。

血液検査では採血時に針を刺します。
これが苦手な人は多いようです。
一方、唾液を採取する方法は針刺しも無く、自分の口の中に溜まった唾液(安静時唾液)をストローで吐き出すだけという簡便なものであり、歯科医院で行うことができます。

唾液採取には際してより正確な検査値を出すために下記の注意事項があります。

①検査前の2日から食事制限、具体的には以下の食品の摂取を控えてください。
 枝豆、納豆、豆腐などの豆を主原料とした料理。
 胡桃、アーモンドなどのナッツ類やシジミ
 豆類、ナッツ類、シジミ材料を原料としたサプリメントや健康食品
②検査前日は、夜9時以降、水以外の飲食を控える
③検査当日は、朝食を控える。歯磨きは検査の2時間前までに済ませる。
 ガム、飴、トローチの摂取は不可。
 うがい薬、入れ歯接着剤の使用も不可。
④検査1時間前は激しい運動は避ける。
⑤喫煙や口腔内のお手入れ(爪楊枝、歯間ブラシなど)も禁止。

ドライマウスや唾液の出にくい方及び薬を服用の方は事前に医師にご相談ください。
現在のところサリバチェッカーでは、肺がん、膵臓がん、大腸がん、乳がん、口腔がんのがんリスクを知ることができます。

1度の比較的簡便な検査で、複数のがんのリスクが分かるこの方法は、ハードルの高かったがん検診を身近なものにしてくれるものと思われます。
今後この唾液検査は人間ドックのフォローとしても活用され、今後有益な検査手段として大きな役割を担っていくことが期待されています。
がんのリスク検査にご感心のある方はお気軽に御相談下さい。

歯科医師
大庭美和子

 カテゴリ:未分類

永久歯に生え変わる時期は?

長引く梅雨にさわやかな青空が待ち遠しい今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
最近当院では、学校歯科検診で紙をもらったお子さんが多く受診されています。

そこで親御さんから「お友達は乳歯が抜けているのにうちの子はまだ」、「乳歯が抜けてなかなか永久歯がはえてこない」など生え変わりに関する心配の声を多く耳にします。
そこで今回は子供の永久歯はいつ生えてくるのかをお話ししたいと思います。
一番前にある中切歯から順に1,2,3・・・と数えていくと

生えてくる順番は男女とも上顎が6≒1→2→4→3→5→7、下顎が1→6→2→3→4→5→7の順番になることが多いようです。
まず6歳前後になると最初の永久歯が生えてきます。
以前は、下の第2乳臼歯の後ろにある第1大臼歯が、最初に生える永久歯となるのが普通だったのですが、最近は下の乳中切歯が永久歯に生え変わるほうが早い場合が多いようです。
永久中切歯が生えて6か月から1年くらい過ぎるとその横の側切歯や上の中切歯が生え変わり、さらに数か月遅れて上の側切歯が生え変わります。
9歳から12歳くらいにかけては、側方歯群と呼ばれる乳犬歯、第1乳臼歯、第2乳臼歯が順次生え変わり、さらに、これらの歯の一番後ろに第2大臼歯が生えて、永久歯の歯並びが完成します。

人によっては20歳頃になると、さらに後ろに親知らず(第3大臼歯)が生える場合もあります。
すべての永久歯で女子の生えてくる時期が早い傾向にあります。また近年日本人の永久歯の生えてくる時期のばらつきが大きくなっている傾向があるようです。つまり永久歯の生え変わりは個人差が大きくなっていると言えます。

 

【生え変わりの際の注意点】

乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきてしまった時
 ・乳歯が揺れているが永久歯が下から出てきた
乳歯が揺れているのであればそのまま経過を見ます。だだし、かんだ時に強く痛みが出て食事もとれないようであれば抜歯をします。特に下の歯の前歯に起こりやすく、乳歯が抜ければ裏側から前に移動します。
 ・乳歯が揺れているがいつまでも抜けずに残っている
奥歯に起こりやすく、乳歯の根は2本あり、永久歯が斜めに生えてくると片方の根が溶けずに残ってしまい揺れはしても、なかなか抜けないことがあります。この場合は抜歯をする必要があります。乳歯が抜ければ永久歯は正しい位置に移動することが多いです。
 ・乳歯が全然揺れていない
乳歯が全然揺れていないのに永久歯が出てきてしまうことがあります。骨の中で永久歯の位置がずれて、乳歯の根を溶かさずに出てきてしまったためです。この場合も抜歯をする必要があります。乳歯を抜歯すれば永久歯は正しい位置に戻ります。

乳歯が抜けたのに永久歯が生えてこない時
 ・乳歯が抜けても3か月永久歯が生えてこない
そのまま経過を観察します。特に上の前歯は乳歯が抜けても永久歯がなかなか生えてこないことが多いです。
 ・乳歯が抜けても半年生えてこない
レントゲンを撮って歯茎の中に永久歯があるか、過剰歯などの異常がないか確認します。
 ・先に隣の永久歯が出てきた
永久歯には自然に生えてくる力はありません。矯正の力を使って引き上げる処置をします。

乳歯がいつまでも生え変わらない時
 ・成長がゆっくりな方
乳歯が交換の時期になってもかなり残っている場合があります。レントゲンを撮って永久歯の存在がわかれば交換まで待ちます。
 ・下に永久歯がない先天性欠如
乳歯の下に永久歯がない先天性欠如の方がいます。その場合は乳歯をそのまま使い続け店もらうことが多いです。
噛む力を維持するため、なるべく乳歯を長持ちさせることが第一目標になります。乳歯が抜けてしまった場合、歯列矯正もしくは入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの補綴治療を行います。

生え変わりは個人差が大きく、心配しすぎる必要はありません。日頃からお子さんの口の中をよく観察して、心配なことがありましたら歯科医院に相談しましょう。

歯科医師
末次里沙

 カテゴリ:未分類

口臭白書 2019

 
西日本もようやく梅雨入りをし、関東も雨の日や曇りの日が続いています。
蒸し蒸し暑かったり、肌寒い日があったりと気温の変化がありますが、皆さまはお元気でお過ごしでしょうか?
梅雨空のどんよりとした天気の中でも、色とりどりの紫陽花が咲いているのを見ると心が癒されますね。

皆さまの口腔内のお悩みにはどんなものがあるでしょうか?
一人一人様々なお悩みを抱えていらっしゃるとは思いますが、口臭白書2019によると自分自身の口臭が気になった経験が「よくある」が17.9%、「時々ある」が56.7%にのぼっています。
「1度はある」(16.0%)を合わせると90.6%、口臭が気になった経験があるという結果でした。

口臭症の国際分類

口臭には食べ物によるものや舌苔、唾液の減少などの口腔内由来のものや、糖尿病や扁桃腺炎、蓄膿症などの口腔内以外の原因など様々なものがあります。

その中でも、口臭の原因の多くが舌苔(舌にたまった食べかすや粘膜)によるもので、舌苔以外にも虫歯、歯周病といった口の中に由来するものがほとんどです。
舌苔とは舌に付着した白っぽい汚れで、口臭を引き起こす細菌やタンパク質を多量に含んでいます。
多少の舌苔は健康な人にもありますが、口の中が乾いているとき、体調がよくないとき、胃腸の病気や脱水を伴う病気があるときなどに厚くなると口臭の原因となります。

口臭の原因を調べる検査の1つに、ガスクロマトグラフィーがあります。
これは、機械で口の中の臭い成分を数値化して調べる検査法で口の中の細菌が出す硫化水素や歯周病菌のメチルメルカプタン、内臓疾患などがあるときに出るジメチルスルフィドという、口臭の原因となる3つのガスを分析します。
3つの成分以外のガスが口臭の原因となるケースもあるため、その場合は、医師が直接臭いを嗅ぐ官能試験で確認します。

皆さまの中にもこのようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
口臭対策としては、日頃の歯みがきで口腔内を清潔にすることや舌ブラシによるケア、唾液分泌促進のためよく噛んで食べる事などがポイントになります。
もし、強い口臭が気になるときは舌苔の異常や歯周病、虫歯など、口臭の原因となる病気がないか、歯科医院でチェックを受けることをお勧め致します。

歯科医師
沼口友美

 カテゴリ:未分類

歯磨きのコツ

10連休のゴールデンウィークが明け、また仕事や学校など日常生活が始まりましたね。
皆様、大型連休はいかがでしたか。
ご馳走を召し上がったり、お酒を飲まれる機会も多かったのではないでしょうか。
もしかすると、普段通りにお口のお手入れができなかった方もいらっしゃるかもしれませんね。

ご存知とは思いますが、日々の丁寧な歯磨きはとても大切で、虫歯・歯周病予防の第一歩です。
今回は歯周病にならないための歯磨きのちょっとしたコツについてお話していきたいと思います。

<デンタルフロスと歯間ブラシを使いこなす>

実は歯ブラシのみで歯を磨いても歯垢は61%しか除去ができないということをご存知でしょうか。
歯ブラシの当たりにくい場所として例えば、歯と歯の間の歯茎が三角形になったところがありますが、この場所は最も汚れやすく、多くの方が磨けていないポイントです。
歯と歯の隙間の汚れを落とすのに適した清掃用具には、歯間ブラシとデンタルフロスがあります。

歯の隙間の広さによって、適したアイテムは異なり、歯と歯の隙間が狭い箇所にはデンタルフロスが、隙間が少し広い場合には歯間ブラシが適しています。
これらのアイテムを歯ブラシと併用することで歯垢除去率は84%までアップすることができます。

1. デンタルフロス

デンタルフロスには、ワックス加工が施されているものと、そうでないものがあります。ワックス加工がされていることで滑りが良くなり、歯と歯の隙間に通しやすくなるというメリットがあります。
そのため、歯と歯の隙間が狭い人は、通しやすいワックスタイプがおすすめです。
また、ワックス加工がされていないノーワックスタイプは、比較的プラーク除去効果が 高いとされています。
フロッシングを習慣付けることも大切なので、デンタルフロス選びにおいて、使いやすさも重要なポイントです。

・正しい使い方
ⅰ)デンタルフロスを30~40cmでカットする
ⅱ)両端を両手の中指に巻きつけて中指と中指の間が15cmほどになるようにする
ⅲ)2cmほどの間隔を作るように両手の親指と人差し指でデンタルフロスを持つ
ⅳ)歯の側面に沿わせながら、ゆっくり歯の隙間に入れる
ⅴ)歯茎の中にデンタルフロスが少し隠れるくらいまで滑り込ませ、上下に動かして歯垢をこすり落とす

2. 歯間ブラシ

歯間ブラシにはストレートタイプとL字型タイプがあり、それぞれ前歯と奥歯に適しています。
また、ストレートタイプは曲げて使用することも可能です。
歯と歯の隙間は、個人差があります。また、歯周病が進行しているケースでは、歯と歯の隙間は大きくなります。歯間ブラシは5段階のサイズ(太さ)に分かれているので、自分に適したサイズのものを選ぶことが大切 です。
まずは1番小さいサイズから使用してみると良いかもしれません。

・正しい使い方

歯と歯の隙間にブラシを入れ、歯の側面に沿わせながら舌側とほっぺた側にやさしくに動かします(数回往復させます)。
上の歯に使用する場合は、歯肉を傷つけないように下向きに挿入し、下の歯に使用する場合は上向きに挿入すると良いでしょう。
歯間ブラシの持ち方は、鉛筆を持つときと同じようにして、力を入れすぎないようにすることも大切です。

もしも、歯垢を完全に除去する歯磨きがいつも行われていたら、歯周病にはなりません。
ところが、毎日磨いているのに歯周病になったという方は多くいらっしゃいます。
それは、きちんと磨いているつもりでも細かい部分に磨き残しがあるからです。
歯磨きにはひとりひとりの癖があって、それぞれ違った磨き残しのポイントがあります。
そのポイントは歯科医院で診てもらえばすぐにわかりますので、自分の歯磨きの癖を知り、歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシなどの補助器具を使い、磨き残していたところを意識して磨くことが大切です。
そして、しっかり磨けているか、指摘された自分の歯磨きの欠点は直っているかということを3~6ヶ月に1度のペースで歯科医にチェックをしてもらうことをおすすめします。
丁寧な日々の歯磨きと、定期的な歯科検診で歯周病を予防していきましょう。

歯科医師
廣田 小百合

 カテゴリ:未分類

顎関節症とTCH

皆様こんにちは。
朝晩はまだ冷え込みますが、日差しは春めいてきましたね。
季節の変わり目で体調を崩されるかたも多いようです。
暖かくなってきても、うがいや手洗いなどをしっかりして、どうぞ皆様ご自愛ください。

ところで、皆さんはTCHという言葉を聞いたことはありますか?
近年顎関節症の主要な原因として話題にもなったことがありますので、聞いたことがある方も多いかもしれません。
今回は、TCHと顎関節症についてお話しさせていただきます。

TCHとは?

まず、TCHとはTooth contacting habit(上下歯牙接触習癖)を略した言葉で、言葉通り、上の歯と下の歯を接触させる習癖のことを指します。
食事をしている時を除くと、本来は、上の歯と下の歯をくっつけてはいけません(歯と歯は離れてないといけません)。
くっついていると、顎関節に負担がかかって顎関節症になるリスクが生じるばかりでなく、歯周病の増悪因子や、歯根破折(歯が割れたりヒビが入ってしまう)の原因にもなる事が分かってきました。TCHがある人は、日常から歯と歯を合わせないようにすることが大切です。
TCHがあるか、調べる簡単な方法を紹介します。
まずは、唇を閉じて下さい。

このときに上の歯と下の歯がかみ合っていたら、TCHがある可能性が高いです。

このTCHは、仕事などで集中している時や睡眠中、運動時やストレスのかかっている時など、人により生じるタイミングは様々で、さらに無意識のものであるため、完璧に改善することが難しいところがあります。

ですが、まずはご自身でこの習癖を意識していただくだけでも、軽減することに繋がります。

では次に、TCHによって引き起こされることも多い顎関節症について詳しくお話しさせていただきます。

1.顎関節症とは?

口を開こうとすると顎関節(耳の穴の前にあります)や顎を動かす筋肉が痛む、あるいは十分には大きく口を開けられない。
または口の開け閉めで音がする。
という症状がでます。一生の間、二人に一人は経験すると言われているほど多くの方が経験します。
症状が音だけであった場合、これは首を回したり、肩を動かして音が出るという状況と同じです。
そのような音を気にして整形外科を受診する人はいないと思いますが、顎関節の場合、耳のすぐ隣にあるために「音が気になる」という人がいます。
しかしこの音を消すためには手術が必要になることから、世界的には「音だけであるなら手術すべきではなく、治療する必要はない」とされています。
ですから顎関節症の症状が始まったとしても、痛みや口の開けにくさが一時的だったとか、音だけで他の症状がなければ治療の必要はないかもしれません。
ちなみに、音だけであれば最低でも人口の20%近くの人は顎関節の音を持つとされています。
また顎関節や顎を動かす筋肉の痛み、あるいは顎関節症による口の開けにくさで、実際に治療が必要になる人は症状を自覚した人の中の5%程度と推定されています。

医療機関に来院される患者さんでは女性が多く、年齢は10歳代後半から増加しますが、20~30歳代で最大になり、その後は年齢が増えるとともに減少する傾向にあります。

2.顎関節症の診断方法は?

前に述べた顎関節や筋肉の痛みや口の開けにくさ、関節音のうちの一つがあり、他の病気を否定したときに顎関節症と診断します。
一般的には、症状がどのように始まり、どのように変化したかをお聞きし、顎関節や筋肉、口の中を診査し、必要に応じてエックス線撮影やCTによって骨の異常の有無を調べ、骨以外の関節構造や筋肉の問題についてはMRIによって調べる場合もあります。
顎関節症で出現する痛みや口の開けにくさは、親知らずの炎症や他の病気でも出ることがある症状なので、顎関節症であることを診断するためには、他の病気によって出てきている症状ではないことを確認する必要があるのです。

3.顎関節症はどのような状態なのか?

顎関節症の病気の状態(病態)は現在4つに分類されています。最も多いのは関節内にある関節円板(図1)というクッションが前方にずれることで起きる「カクンカクン」という音が出る状態(図2)、あるいはずれがもっと大きくなることで大きな口が開けられなくなる状態です(図3)。

特に口が大きく開かなくなると、口を開けたり食品をかもうとするときに痛みが出ます。
この2つの状態で来院される方が全体の60%ほどになります。
これ以外では顎関節そのものには痛みがないのですが、下顎を動かす筋肉がうまく働かなくなり、口を開けようとすると頬やこめかみの筋肉が痛むという状態(図4)、あるいは関節円板のずれはないのですが、口を開けようとすると顎関節が痛む捻挫に似た状態があります。
4番目はこれまでの3タイプほどは多くありませんが、関節を作っている骨が変形するタイプの顎関節症があります。
このタイプは長年顎関節症が続いていたり、年齢の高い方に多くみられます(図5)

4.原因は?

昔は「かみ合わせの悪さ」が原因と考えられていました。
今でも「かみ合わせが悪いと顎関節症を初めとして、全身にも色々な不都合が起こる」という意見もインターネットには沢山あります。
しかしもしそれが事実なら、歯科医療事情がまだ整っていない発展途上国には顎関節症患者があふれているはずですが、国際学会に出席してもそのような話しを聞くことはありません。
では何が原因なのでしょうか。実は原因を一つに絞ることができないというべきなのです。顎関節症の原因として現在世界的に認められている考え方は「多因子病因説」といいます。
関節や筋に負担のかかる要因は色々あります。
そのような要因がタイミングよくいくつも集まって負担が大きくなり、その人の持っている耐久力を超えると症状が出るという考え方です。
そのような要因には表1に示すように色々なものがあります(表1)。
このような要因の一つ一つは大きなリスクとは言えないので、それぞれを症状に対する「寄与因子」と言います。一つ一つは小さな要因ですが、このような寄与因子が多数集まることによって、症状を起こすほどの原因となるわけです。

まずはじめに、その人が持っている顎関節や顎を動かす筋肉の構造的弱さがあります。
この構造が頑丈であればいろいろな負担に耐えられるでしょうが、弱い場合には症状が出やすくなるでしょう。
「かみ合わせの悪さ」も寄与因子の一つではありますが、この寄与因子だけで症状を起こすケースはごくまれであると言えます。
さらに症状が起きるきっかけとなる外傷があります。
転倒して下顎をぶつけて顎関節を傷つけ、それがきっかけとなって顎関節症が始まることがあります。
それ以外にも精神的要因としては、例えば不安の持続による筋肉の緊張持続から痛みが生じたり、顎関節を傷つける場合もあります。
さらに、とりわけ多彩な要因として行動学的要因があります。
この要因は生活や仕事など、日常生活の様々な面で現れるもので、患者さんによって持っている因子がまちまちです。

治療しようとする時にその患者さんの全ての寄与因子を特定することができるなら、それらの寄与因子をできるだけ除いて行くことで、原因に対する治療を進めることができるのですが、全ての寄与因子を見つけるということは非常に困難です。
また見つけることができたとしても、除くことができない寄与因子もあります。
例えば顎関節の構造がいかにもひ弱だと思われても、それを大きく頑丈にすることはできません。
外傷についても、あらかじめ予測することは無理ですから、この寄与因子も除去することは困難です。
そういった寄与因子のうち、特に行動学的寄与因子の中で、最近見つかった重要な寄与因子があります。
それは必要がない時にも上下の歯を接触させている(かみ合わせている)歯列接触癖(Tooth Contacting Habit (TCH))と名付けた癖です。
普通、口を閉じていても上下の歯はかんでいないのですが、来院する顎関節症患者さんの8割近くの方たちが口を閉じているときに上下の歯もかんでいるという癖をお持ちでした。
この癖があると顎関節や筋肉に持続的な負担をかけることから、顎関節症を引き起こしやすくなることが分かってきました。
しかもこの癖を治すと、大部分の患者さんの症状が改善することも明らかになりました。
つまり、この癖が数ある寄与因子の中で最大の原因になっていることが分かったのです。このため、顎関節症の患者さんにこの癖をみつけた場合には、先ず一番にこの癖を治すべきということになったのです。

表1 原因となる寄与因子には色々あります。

1. 解剖要因: 顎関節や顎の筋肉の構造的弱さ
2. 咬合要因: 不良なかみ合わせ関係
3.精神的要因: 精神的緊張の持続、不安な気持ちの持続、気分の落ち込み感覚の持続
4. 外傷要因: かみちがい、打撲、転倒、交通外傷
5. 行動要因:
 1) 日常的な習癖 
  歯列接触癖(TCH)、頬杖、受話器の肩ばさみ、携帯電話やスマホの 長時間操作、下顎を前方に突き出す癖、爪かみ、筆記具かみ、うつぶせ読書
 2) 食事
   硬固物咀嚼、ガムかみ、片側でのかみ癖
 3) 睡眠  
  はぎしり、睡眠不足、高い枕や固い枕の使用、就寝時の姿勢(うつぶせ寝)、手 枕や腕枕
 4) スポーツ
  コンタクトスポーツ、球技スポーツ、ウインタースポーツ、スキューバダイビング
 5) 音楽
   楽器演奏(特に吹奏楽器)、歌唱(声楽、カラオケ)、発声練習(演劇等)
 6) 社会生活
  緊張が持続する仕事、コンピューター作業、精密作業、重量物運搬、人間関係での緊張、

5.顎関節症の治療とは?

①歯科医院での治療

まず、知っておいていただきたい世界的にも認められている治療方法の原則があります。
それは治療方法を選択する場合に、その治療による効果がなかったときに、患者さんにその治療による被害を残さない治療(可逆的な治療)を選択すべきであるという考え方です3)。
具体的には、かみ合わせを良くするためとして、歯を削る、被せ物をする、歯列矯正をするといった治療(不可逆的な治療)は避けるべきです。
このような治療を受けても症状の改善がなかった場合、元の状態に戻すことができません。
このような治療を行わなくとも症状を改善させることができます。
それはスプリント(マウスピース)、開口訓練、マッサージや湿布、習慣や癖を修正する行動療法などです。

一般的にはスプリント(マウスピース)による治療を行います。
これは上顎あるいは下顎の歯列に被せるプラスチックの装置です(図7)。

これを夜間睡眠中に使用することで、夜間の無意識かみこみで生じる顎関節や筋肉への負担を軽減させます。
痛みが強い時期には鎮痛薬も投与されるでしょう。
また、痛む部位にして近赤外線レーザーを照射する、あるいは電気刺激をすることで筋肉を自動的に収縮させて血液の流れを改善する場合もあります。
多くの場合はこれらの治療によって、症状が消失します。

②ご自宅で行える方法

顎関節症の痛みや開口しにくさといった症状の改善には、患者さん自身による家庭でのセルフケアが重要であり、そういったセルフケアを積極的に行うことが世界的にも提唱されています。
セルフケアなしで症状の完全消失はあり得ないといっても過言ではありません。

1) 症状が強い急性期(口を動かさなくとも顎関節や筋肉が痛むとき)の生活上の注意  顎関節症が急に起こったときは痛みが強く、口も手の指1本の幅くらいまでしか開かなくなる場合もあります。
そのような時は以下に記載したような生活上の注意を心がけてください。
そのようにしているうちに、多くのケースでは数日で痛みがやわらいできて、口の開き方も多少なりとも改善するはずです。
そうなったならもう少し積極的な方法を取り入れるようにしてください。

[具体的方法]

・ 10分間を限度として氷水を入れたビニール袋を痛む顎関節の外側、あるいは筋肉の上に当てて冷やしてください。10分冷やしたらゆっくりと開閉口して顎関節を動かすとともに筋肉を引き延ばす動作を繰り返してください。これを1日何回か行ってください。
・ 食品は小さく切り分け大きく開口することを避けるとともに、かみしめが必要な固い食品(特にビーフジャーキー、するめ、フランスパンといった食品のように、かみ切るのにしっかりかみしめる必要があるもの)は避けるようにしましょう。
・ 急に開閉口する動作は、関節をさらに傷つける可能性があるので避けましょう。
・ あくびをするときはすでに疲れている顎の筋肉で開口を抑えるのではなく、下あごの下に拳骨を置いて開口を抑えるようにしましょう。この方が顎の筋肉への負担を減らせます。
2) 症状が少し落ち着いてから(口を開けたり、物をかまなければ痛みが出なくなったら)行うべきセルフケア

[湿布]

・ 蒸しタオルを5分ほど当てて温めるといいでしょう。

[マッサージ]

・ 親指の付け根(母指球)や2~3本そろえた指先でゆっくり押し回すようにマッサージするといいでしょう。強くつまんだり、痛みが強まるほど激しくもむのは逆効果です。

[訓練療法]

・ 急性期の痛みが和らいできたら、少し痛みを感じる程度に関節を動かし、筋肉を引き延ばす訓練療法を行うと痛みの改善が早まります。ただ、これはいわゆるリハビリトレーニングですので、自己判断で行うのではなく、歯科医あるいは日本顎関節学会ホームページに公表されている「顎関節症の初期治療のための診療ガイドライン」にある指示に従ってください。

[行動療法]

・ ご自分が無意識に行っている行動や、姿勢、習慣等が症状を起こしやすくしたり、一旦始まった症状を長引かせているケースがしばしば見られます。そのような問題行動を自分で見つけることは簡単ではありませんが、もし見出すことができたり、あるいは歯科医からの指摘等が得られたなら、その行動を是正することが症状改善に大きく影響するでしょう。

時折、顎関節症の症状が消えていないのに、むし歯治療や入れ歯治療を受けてしまう患者さんがおいでです。
症状が消えていないというのはどのような状態かというと、通常の生活をしている中ではあまり不自由を感じてはいないのですが、体調が悪化したり、疲労が溜まってくると口が開きにくくなり、大きく開口しようとすると顎関節や筋肉が痛むという状態です。
これは言うなら「隠れ顎関節症」の状態であり、以前の顎関節症から完全には回復していないのです。
このような状態にある時は左右にある顎を動かす筋肉のバランスが取れていないために、元々のかみ合わせからずれてかんでいるのです。
このようにかむ位置が不安定な状態のままでかみ合わせを作る治療を行ってしまうと、不安定な位置ですから当然ですが、その位置でかみ続けることが苦痛になります。
結局はまた治療をやり直すことになるのです。
歯科医の中にはそのような状況を判断できない場合もあるため、このような無駄な治療を受けないためには、患者さん自身が顎関節症の症状の消失を確認できる事が必要です。

完全に機能が回復した場合は、最大まで口を開いても痛みはないはずです。
両手を使って無理矢理口をこじ開けても痛みが出ません。
こうなっているなら回復は完全と言えます。
音に関しては残るかもしれませんが、痛みがなく音だけであれば心配はいりません。
問題は痛みです。痛みが完全に消えているなら、歯科治療を受けても大丈夫です。
顎の開閉運動、そしゃく運動も安定しているはずですので、歯科治療によってもっとかみやすくなるでしょう。
また歯列矯正治療を受けて美しい歯並びにすることも可能です。
こうしてかみ合わせを良くすることは,原因のところで説明した寄与因子を減らすことにもなりますので、再発のリスクを小さくすることにもなります。

歯科医師 福島歩

 カテゴリ:未分類

はみがき勇者

早咲きの桜が春の訪れを知らせる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、当院にも小さなお子さんが患者さんとしてよくいらっしゃいますが、保護者の方から伺うお悩みとして挙げられるのが、「子供が嫌がって歯磨きのとき口を開けない。」「歯磨きしようとすると暴れて逃げてしまう。」というものです。
そんな悩みを解決するために、去年あるアプリが開発されました。

みなさん、「はみがき勇者」というアプリをご存知でしょうか?

このアプリは「やりたくないこと」である歯磨きにゲーム形式で楽しく取り組み、習慣にできるよう開発されました。
歯ブラシを持ってカメラに向かうことで、兜をかぶった勇者に変身し、歯磨きをすることでモンスターを攻撃。
様々な角度で磨くほど攻撃力が大きくなり、丁寧に磨く練習ができます。
モンスターを倒して獲得できるコインに応じて「ヒーローカード」が手に入り、さらに攻撃力がアップ、より多くのモンスターを倒せるようになります。
30ステージごとに登場するドラゴンを倒すとプレイヤーがかぶる勇者の兜がグレードアップする仕掛けも用意されています。
プレイするほど強くなり、先に進めるようになるシンプルなルールで、積極的に歯磨きに取り組む気持ちをサポートします。

歯磨きを嫌がるお子さんに苦戦されている保護者の方々、ぜひ一度試してみられてはいかがでしょうか。

歯科医師 松﨑麻実

 カテゴリ:未分類

金属アレルギーの原因は
口の中にあるかもしれない

皆様こんにちは
寒い日や逆に汗ばむ陽気になったり、このところ気温の寒暖差が激しいですね。
免疫力が低下し、体調が崩れやすい状態になっている方も多いのではないでしょうか?
しっかりと睡眠を取り、栄養のあるものを食べるなどして、免疫力の低下しないようにすることが大切かと思います。

金属アレルギーとは?

金属アレルギーとは、金属を原因として生じるアレルギー症状全般のことをいいます。
アクセサリーなどに使用されている金属が汗で溶けてイオン化すると、体内のタンパク質と結合して新たなタンパク質に変性し、それを体が“異物”とみなすことによってアレルギー反応が生じます。
症状はすぐには現れなくて、許容範囲を超えてから発症します。
このため、遅延型アレルギーとも呼ばれています。
よく似たタイプが花粉症です。
金属アレルギーは日本人の10人に1人が発症しているといわれるほど一般的な皮膚疾患で、大人になってから発症する人も珍しくありません。
例えば 「ピアスをつけると耳がかゆくなる」 「ネックレスが触れている部分が赤くただれる」 「手のひらの荒れが何をしてもなかなか治らない」 このような症状が見られる場合、金属アレルギーの可能性があります。
金属が触れた部位やその周囲の赤みやかゆみなど。このような症状のことを、​「接触皮膚炎」 「接触皮膚炎」 と呼んでいます。
しかし実は金属アレルギーには、他に「全身性金属皮膚炎」と呼ばれるものがあります。
​全身性金属皮膚炎とは、接触皮膚炎のように金属が直接皮膚に触れることによって生じるわけではなく、歯科金属が唾液により溶け出しイオン化することでアレルギー反応を生じるものです。

全身性金属皮膚炎の主な症状としては、掌蹠膿疱症(手足に膿がでる病気)・汗疱状湿疹(手 足に水ぶくれができる病気)・難治性のニキビ・アトピー性皮膚炎などがあげられます。
保険診療で主に使用されているニッケル・コバルト・クロム・水銀は最も金属アレルギーを起こしやすい金属です。(下記グラフ参照)
また、1970年代を中心に使われていたアマルガムという金属は水銀を50%も含まれています。
アレルギーを引き起こすとともに、水俣病の原因となる重金属です。

金属アレルギーに対する治療の流れ

①検査
金属アレルギーとひとくちにいっても、私たちの身のまわりには、いろいろな種類の金属があります。
どの種類の金属が患者さんの体質に合わないかを正しく調べることが大切です。

②パッチテスト
皮膚科にてお口の中の金属にアレルギーがあるかないかを調べるために、歯科用金属をすべて網羅した、歯科用金属シリーズパッチテストを用いて、パッチテストをおこないます。

③診断
パッチテスト、問診、レントゲン検査、口腔内診査などをもとに、金属アレルギーの診断をいたします。

④修復治療・交換治療
分析の結果、アレルゲンが口の中の歯科金属に含まれていると判明した場合、これらを除去する必要があります。
具体的には詰め物・被せ物・入れ歯などを、アレルゲンフリーの材料(セラミックやレジン)への交換治療をおこないます。

<アレルゲンフリーの材料>

セラミックス
陶材のみでつくられた素材や、人工ダイヤモンドの材料になるジルコニアなど、科学的に安定 した素材「セラミックス」を用いたメタルフリー治療です。
当院ではジルコニアのみで作られ たジルコニアインプラントも取り扱っております。

ダイレクトボンディング
歯科用の強化レジンを用いた治療です。虫歯が比較的小さく、レジンアレルギーのない方に対 して行います。

グラスファイバー(ファイバーコア)
人工歯を支える土台(コア)に、金属ではなくグラスファイバーを用います。見落としがちな 土台部分からもメタルフリー治療をサポートします。

ノンクラスプデンチャー
部分入れ歯のバネ​通常の部分入れ歯では、金属が用いられる「バネ」の部分を樹脂製のものに変更し、「メタルフリー入れ歯」を作成します。

⑤アフターケア

通常の歯科治療と同じく、金属アレルギーの治療もアフターケアがとても大切です。
アレルギー症状は、全身のコンディションにより大きく左右されます。
患者さんご自身も日常の健康維持にご留意いただくと共に、必ず定期健診をお受けください。

金属アレルギーかもしれないなど、心配な方は一度歯科医師にご相談ください。

歯科医師 岡田啓子

 カテゴリ:未分類